抗不安薬は、かつて「精神安定剤」あるいは「マイナートランキライザー」と呼ばれていました。「精神安定剤」と聞いただけで、「止められなくなる」「依存症になる」あるいは「中毒になる」と服用を拒否する患者さんも少なくありません。しかしながら、抗不安薬の役割と効果、副作用をよく知って上手に服用することも必要です。
うつ病の治療に用いられる抗不安薬をその化学構造に基づいて分類します。
- ベンゾジアゼピン系
- チエノジアゼピン系
- ジフェニルメタン系
- その他(セロトニン作動性)
この中で、最もよく使用されるのがベンゾジアゼピン系とチエノジアゼピン系に分類される抗不安薬です。この2つは、構造が少し異なるだけで作用はほぼ同様のため、同じ種類のものと考えてよいでしょう。同じ種類であっても、短時間(3時間くらい)効果を示すものから、中時間〜長時間(12時間以上)効果を示すものまでさまざまなため、患者さんの症状によって使い分けられています。
ここでは、ベンゾジアゼピン系(チエノジアゼピン系を含む)の抗不安薬の作用について解説します。
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抗不安薬は、脳内におけるヒトの情動と密接な関係を持つ大脳辺縁系と、視床下部という部位に対して「抑制的」に作用することで、不安や緊張を改善すると考えられています。抗不安薬の作用機序には、ガンマアミノ酪酸(GABA:ギャバ)が関わっています。GABAは脳内中枢神経を抑制する神経伝達物質で、抗不安薬はGABAの受け皿であるGABA受容体の働きを強めることにより、抗不安作用を発現します。
抗不安薬の効果は、服用後1〜2時間くらいで現れるため、抗うつ薬に比べて速く効果を示します。ただし、うつ病においては、多岐にわたる症状のうち、不安やイライラ感を対症的に軽減させる意味で使用され、、うつ病そのものの治療手段ではありません。また、抗不安薬は睡眠薬と同じように眠くなる作用がありますので、不眠に対しても用いられます。
患者さんによっては、抗うつ薬開始から数日〜2週間くらいの比較的初期の段階で、不安やイライラ感が強まったり、不眠になることがあります。抗不安薬は、このような場合に短期間抗うつ薬と併用することが望ましいとされています。抗うつ薬の効果が現れたら抗不安薬は必要ではなくなることが多く、漫然と長期に服用を続けるべきではないとされています。
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