2012年5月17日木曜日

京都大学 医学部 人間健康科学科 » 作業療法学専攻


概要

作業療法学専攻ウェブサイトへようこそ.当専攻の教育について紹介します.

専攻の紹介
 生活を科学する作業療法
 作業療法の対象
 当専攻の教育と研究
 カリキュラム

受験生の方へ(ぜひお読み下さい)
 期待する学生像
 入学後の転学部・転専攻


専攻の紹介

生活を科学する作業療法
 ひとの日々の生活は,身辺処理や生活管理など生活を維持する活動,職業や家事・育児・学業などの仕事に関する活動,遊びや余暇など,さまざまな活動(作業活動)によって営まれています.生活の質,健康な生活,社会参加の内容は,そうした作業活動のありように左右され,病や障害はその作業活動に支障を来たし,生活に障害をもたらします.

 作業療法は「適応の科学」と言われ,病や障害により日々の暮らしに支障を来している人々に対し,自律して生活に適応する能力の発達・回復・開発・維持を援助します.
 生活への適応困難は,生理機能,運動機能,認知機能,社会的機能などのいずれかの要因により,もしくは複数の要因が重なって生じます.生活に生じた問題を分析し対策をたてるためには,人の心や身体の仕組み,モノの捉え方・判断の仕方,学習・記憶の仕方,社会規範の理解・対応の仕方,行為・動作として表現する仕組みなどに関する知識が必要となります.


不安のために店頭薬物

 作業療法や作業活動についてより詳しく知りたい方は,社団法人日本作業療法士協会ウェブサイトおよび京都府作業療法士会ウェブサイト(外部リンク)をご覧ください.
 また,作業療法士とはどんな人で,どんな仕事をしているのか知りたい方は,「卒業後の進路」(ページ上のタブから移動できます)をご覧ください.臨床現場で働いている当専攻卒業生が,作業療法士の仕事の様子について説明しています.



作業療法の対象
 作業療法の対象には,さまざまな病や障害の方が含まれます.大きく分類すると以下のようになります.

  • 感覚運動機能に障害がある人(脳血管障害,脊髄損傷,関節障害,切断,手の外傷など)
  • 精神認知機能に障害がある人(精神障害,高次脳機能障害,広汎性発達障害など)
  • 発達に障害がある子ども(脳性麻痺,頭部外傷後遺症,先天異常,筋ジストロフィー,自閉症,学習障害など)
  • 高齢者(脳血管障害,関節障害,認知症,パーキンソン病など)


当専攻の教育と研究

臨床実習II (2年次,京都大学医学部附属病院にて)


胆嚢の手術から1 、痛み、1
 作業療法学専攻は,健康科学の一環として「作業療法学」を確立し,より高度な専門性と豊かな人間性を備えた臨床,教育,研究に携わる人材を育成しています.
 当専攻では,適応機能の改善・回復を効果的に実践するための作業活動の特性を学び,対象者個々のニーズに合わせ作業を適応・段階づける知識・技術を獲得する作業分析,評価,援助法などを体系的に学べる教育プログラムを提供します.そして,獲得した知識・技術については,臨床実習を通して最終的な確認を行います.

 作業療法は,他の医療関連に比べ歴史の新しい領域であり,高度先進医療と相補する治療・援助技法として脚光を浴びています.その要望に応えるために,研究を遂行し絶えず精錬していく姿勢が求められます.当専攻には2007年度より大学院(医学研究科人間健康科学系専攻リハビリテーション科学コース)が開設され,京都大学医学部附属病院と連携し,高度な臨床専門職,教育・研究職を育成しています.ここでは臨床研究のみならず,近赤外線分光法,脳波,脳磁図,脳機能画像,自律神経機能測定,神経心理学的検査などの客観的指標を用いた研究にも取り組んでいます(大学院ウェブサイト:臨床認知神経科学分野,脳機能リハビリテーション学分野).



カリキュラム

関節可動域計測の練習

<専門教育>

1年次:全学共通科目,専門基礎科目,作業療法適応学原理,作業学
 全学共通科目で語学力など学問的基礎力を養います.また,専門基礎科目で人体の構造・機能,さまざまな疾病や障害など,医療職としての共通の知識を学びます.また,専門科目である作業療法適応学原理や作業学で,作業療法への興味を深めます.


ポストにきびマークの傷跡の治療薬

2年次:専門基礎科目,作業分析学,作業学演習I,作業療法評価学総論,運動機能評価学実習,日常生活援助法I,作業療法治療学の総論,高齢期作業治療学
 専門基礎科目で医療職としての共通の知識を学びます.また,各専門科目で,作業療法士の専門性の基盤をなす各種技術を学びます.

3年次:作業療法管理運営論,生活機能評価学実習,発達評価法実習,心理社会機能評価学,日常生活援助法II,作業療法治療学の各論,高次神経障害作業治療学,地域作業治療学,研究方法論
 2年次に学んだ知識を応用・展開し,臨床実習IIIに向けて,実践的な知識・技術を身につけます.

4年次:作業療法演習
 臨床実習IVに向けて,高度な臨床応用力を身につけます.

<臨床実習>
 実習施設として,京都大学医学部附属病院をはじめ,主として関西圏の総合病院・福祉施設・保健施設の協力を得ています.

1年次:臨床実習I
 臨床現場の見学を通じて早期より作業療法の理解を深めます.

2年次:臨床実習II
 専門基礎科目・専門科目にて学習した内容を確認し,統合します.

3年次:臨床実習III
 身体障害,精神障害,発達障害の3領域において行われます.協力施設において,実習期間に1名以上の患者・対象者を担当し,評価実施・作業療法プログラムの立案を行います.

4年次:臨床実習IV
 3領域のうち2領域でそれぞれ9週間の実習を行います.協力施設において,患者・対象者を担当し,評価と治療実施,再評価を行います.


近赤外光イメージング装置を用いた脳機能計測(卒業研究)


<卒業研究>
 3年次で学んだ研究方法論の知識を基盤とし,教員の指導のもと,各自がそれぞれ独自のテーマで研究を行います.自らの力で文献を調べ研究計画を立て,それに基づいて調査・実験を行い,成果を発表するという一連の流れを通じて,将来の臨床研究者としての基盤を育みます.



受験生の方へ

期待する学生像
当専攻では,以下のような学生を求めています.

・作業療法は,病いや障害がある人を心理的に支えながら心身機能の回復や生活の再建に携わります.そのため,人と接しコミュニケーションを図り,援助することに関心がある人.

・リハビリテーションは科学的な根拠に基づいて行うことが大切なため,物事に知的関心を抱き,客観的に考えることができる人.



入学後の転学部・転専攻
 京都大学には入学後の転学部・転専攻の制度がありますが,それぞれ条件があり,入学してから進路を考えるということは容易ではありません.

 当専攻では2004年~2010年の7年間に,転学部希望者は延べ17名おり,このうち認められたのは1名です.また転専攻希望者は延べ7名おり,このうち認められたのは2名です.このように入学後の転学部・転専攻は困難なものがあります.また,進路変更のため退学という道を選んだ学生が12名います.(以上のデータは2011年8月現在のものです)

 当専攻は,作業療法学を学び,作業療法士になるためのカリキュラムを備えています.このカリキュラムは専門的なものであり,作業療法士国家試験を受験するために必要な全ての単位を取得することが卒業の条件となっています.当専攻を志望するにあたっては,このような点を十分検討して下さい.



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