感染症疾患の感染症の変貌のお話。
今回は、移植後感染症の説明です。
★[移植後感染症]infectious diseases after organ transplantation★
【概念】
腎移植は慢性腎不全の根治的治療であり、最近では免疫抑制療法の進歩によりその成績は飛躍的に向上しています。
このように腎移植の成績が向上した理由として、免疫抑制療法がより選択的になり拒絶反応が抑制されるようになったことと、重篤な感染症の頻度が低下したことが大きいです。
しかし、それでも感染症は移植後の合併症のなかで第1位を占めており、ときに致命的であるため、その管理は特に重要です。
●腎移植後の感染症の推移
移植後の感染症の発症時期は、3期に分けられ、第1期は周術期、第2期は周術期移行の免疫抑制療法導入期、第3期は維持免疫抑制期です。
《第1期》
移植後1〜2週間で、免疫抑制が開始されたばかりで、生体防御機能もそれほど低下しておらず大きな感染症も少ないです。
この時期の感染症としては、主に手術や処置と関係する細菌感染による創感染や尿路感染、肺炎などが起きやすいです。
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《第2期》
周術期以降の3〜4ヶ月目までで、免疫抑制薬の投与量も多く生体防御機能の低下する時期であり日和見感染が多く、主要な感染症の約75%がこの時期に起こります。
この時期の感染症は、ウイルス感染、特にサイトメガロウイルス感染症やニューモシスチス・カリニ肺炎などがあり、発症すると重症になりやすく適切な治療が必要となります。
《第3期》
移植後4ヶ月以降で免疫抑制薬が維持量になる維持期です。
この時期には腎機能も安定し免疫抑制薬も少なくなるため、生体防御機能も回復します。
このため感染症も健常者とそれほど変わりませんが、ときに真菌感染症や結核などが起こることがあります。
●細菌感染症
細菌感染としては、創感染、尿路感染、肺炎などがあります。
《創感染》
予防が重要であり手術前に皮膚のブラッシングを行い、ドレーンは閉鎖回路とすることが望ましいです。
《尿路感染》
膀胱留置カテーテルの挿入時や抜去時に起こりやすいため、清潔な操作が重要です。
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《細菌性肺炎》
発熱、咳嗽、喀痰などの増加などで疑われ、胸部X線撮影にて診断されます。
喀痰より起炎菌が検出された場合、感受性のある抗生物質を投与します。
また、予防としてポビヨンヨード水による嗽を連日行う場合もあります。
《肺結核》
最近、肺結核が問題になってきており、術前には必ず、胸部レントゲン撮影を施行し、術後も肺結核を疑った場合、胸部レントゲン撮影に加え、胸部CT、喀痰、胃液の培養やPCR法による結核菌検査を施行し、早期発見に努めます。
●ウイルス感染症
ウイルス感染が腎移植後感染症の重要に位置を占めます。
ウイルス感染症の多くはヘルペス科のウイルスで、特にサイトメガロウイルス感染症が重要で、また、単純ヘルペス、水痘帯状疱疹ヘルペス、EBウイルス感染症も注意が必要です。
一般に移植前にHBV、HCVキャリアーであっても腎移植の絶対的禁忌とはなりませんが、移植後の免疫抑制療法により肝炎ウイルスが増殖し、肝炎の発症、増悪をきたす場合があり、ウイルスマーカーや肝機能の注意深い観察が必要です。
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●サイトメガロウイルス感染
初感染、回帰感染、再感染の3つのタイプがあり、移植後の感染は回帰感染が多い一方で、グラフトや輸血による初感染も認められます。
《症状》
発熱だけの場合が多く、同時に血小板減少、引き続く白血球減少を認めます。
《診断・治療》
予知診断が可能なアンチゲネミア法が有用で、陽性と判断されれば、ただちにガンシクロビルを投与します。
治療が遅れると、間質性肺炎、肝障害や胃潰瘍などの重症感染に進行します。
●ニューモシスチス・カリニ肺炎
ニューモシスチス・カリニPneumocystis cariniiにより起こる重篤な肺感染症です。
《症状》
高熱、乾性咳嗽、呼吸困難がみられますが、聴診所見には乏しいです。
胸部X線撮影では、初期には肺門から末梢に向かう淡い浸潤像がみられ、急激に全肺野に及ぶスリガラス様陰影となります。
《診断・治療》
喀痰、BALFを用いた塗沫(グロコット、ギムザなど)とPCR法、さらにβ-D-グルカンが診断に用いられます。
確定診断に至らない場合でも、本症を疑ったなら早期にST合剤やペンタミジンによる治療を速やかに行います。
●真菌感染症
起炎菌としては、カンジタ、アスペルギルス、クリプトコックスの3菌種が多く、抗生物質に反応しない持続的な発熱をみた場合、深在性感染症を疑う必要があります。
《治療》
アムホテリシンBやフルコナゾール系抗真菌薬投与が必要ですが、深在性感染症は確定診断を得ることが難しく治療も難渋するため、腎毒性のあるアムホテリシンBを投与する場合があります。
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